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Vol.7 |
医療法人 かわかみ外科・整形外科クリニック http://www.kawakami-clinic.com/ |
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───────────────────────────────── 【なるほどコラム】脊柱側弯症 何らかの原因で、脊柱に側弯変形が生じたものをいいます。脊柱側弯症は、胎生期の発生異常により脊椎に奇形が起こる「先天性のもの」と、 後天性のものがあります。 今回は、後天性の脊柱側弯症について取り上げます。 (1)特発性脊柱側弯症 特発性は“とくはつせい”と読みます。原因が不明、という意味です。 (とっぱつせい、では意味がぜんぜん別で、突然起こることになります。) 現在治療されている側弯症の80~90%がこの特発性と分類されています。すなわち、側弯症の原因はいまだにほとんど不明、ということです。 症状は初期にはないことが多く、学校の健康診断で見つかることも多いのです。細く、筋力のやや低い女子に多いのが特徴です。 (女子は男子の10倍) 発見方法としては、前屈テストが有名です。深くお辞儀をした時の、 背面の左右の高さの差を見ます。脚長差がある場合には、イスに腰掛けて行います。 側弯症が疑われたら、次に行われるのがレントゲン撮影(X-P)です。 これで、Cobb角を測定します。 Cobb角:上縁が凹側に向かって最大に傾斜している最上位の椎体と下 縁が凹側に向かって最大に傾斜している最下位の椎体との間 の角度。 Cobb角は、まあ、脊柱の曲がり具合の指標です。字で書くと、なんのことやら、とてもわかりにくいです。図で見ると、簡単です。 (側弯症、Cobb角をキーワードにしてインターネットで検索してみてく ださい。実際の様子を確認できます。) 一般的にはCobb角が25°までは、特に治療せずに、経過観察。3ヶ月、 もしくは6ヶ月毎のX-P検査をします。25°を超えて、増悪する場合には、装具療法を行います。 思春期であれば、Cobb角45°以上、成人であればCobb角60°以上で手術を考慮します。Cobb角だけでなく、成長度、胸郭の変形度、肺機能、 腰・背部痛、などを総合的に判断して、手術適応を決定します。 原因不明な事がほとんどのため、治療も対症療法的となります。 (2)腰椎変性側弯症 長年の労働による腰椎の著しい変性に基づくものです。ほとんどの例で、慢性的な腰痛や下肢痛を認めます。多くが高齢のため、基本的には保存的な治療が行われます。薬物療法(痛み止めの内服や湿布)や、理学療法(温熱療法、牽引、低周波等)、生活指導などです。痛みが強いときには神経ブロックも効果的です。 これらの治療で軽快しないものや、膀胱直腸障害のような神経麻痺が存在する場合には手術の適応となります。 手術は、徐圧術(神経の通り道を広くする)や、固定術が行われますが、特に固定術は骨粗鬆症の合併も多く、適応は限られます。 (3)その他の脊柱側弯症 脊髄空洞症によるもの、Marfan症候群によるもの、多発性神経線維腫症によるもの、脊椎すべり症に伴うもの、Scheurmann病、脊椎の外傷・ 手術後のもの等があります。 ================================================================== 2004(c)Kawakami Surgery and Orthopedics Clinic. |
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