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Vol.6 |
医療法人 かわかみ外科・整形外科クリニック http://www.kawakami-clinic.com/ |
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───────────────────────────────── 【なるほどコラム】いわゆる50肩 50肩は不思議な病気です。 基本的には加齢による疾患なのですが、早い人で半年位、長い人でもだ いたい2年位で自然に治ってしまうんです。 原因ははっきりしません。単なる老化であれば、歳をとればとる程、多くなるはずですが、40肩と言ったり、50肩と言ったりするように、なりやすい年齢があります。 ただ、近年、肉体の老化が遅くなってきており、70才で50肩、というのもめずらしくありません。デパート等では、“実年齢×80%”で考えなさい、と指導しているそうです(新聞で読みました)。 つまり、「実年齢70才であれば56才」と考えて、洋服やアクセサリー等をお勧めするというのです。 まあ、70を過ぎて百名山登山に挑戦、という方が、万の単位でいるわけですから、当然と言えば当然ですね。 話がちょっと脱線しました。もとに戻します。 50肩の症状としては、代表的なものが2つあり、1つは可動域制限、もう1つは夜間痛です。一般的には、両方同時には起きません。 可動域制限とは、文字通り、肩を動かすことのできる範囲が狭くなることです。高い所の物が取れない、エプロンのひもが結べない、等が代表的な症状です。 夜間痛も特徴的です。痛い方の肩は下にできない、痛みで目が覚める、等です。 さて、治療方法ですが、急性期と慢性期に分けて考えます。急性期(強 い痛みのある時期)には基本的に安静です。痛み止めの内服や、湿布も効 果的です。 X線撮影の結果、石灰化を認めることがありますが、これは石灰沈着性 腱板炎と言い、50肩とはちょっと違う病態です。 この場合にはステロイドの関節注射が著効することが多いです。 このステロイドや、ヒアルロン酸の関節注射は、もちろん50肩にも効果的です。 強い痛みが治まり、慢性期に入ると、基本は運動療法になります。50肩 は放っておいてもよくなるのですが、可動域制限が残ることがあります。 これを防ぐために行うのが運動療法です。 温熱療法(ホットパック)や低周波等を同時に行うと、効果的です。この運動療法について詳しくお知りになりたい方は、当院までご相談いただければと思います。 以前は、中年以降に肩の痛みがあると、“50肩ですね。”と言って治療 していたようですが、近年、50肩という病気はかなり範囲が狭くなりました。 近年50肩から分かれた疾患概念としては、変形性肩関節症、石灰沈着性腱板炎、変形性肩鎖関節症、腱板断裂、肩板炎、インピンジメント症候群、 肩峰下滑液包炎、等があり、現在では独立した疾患として扱われています。 (もちろん、合併することも多いです。) 多くの病院では、わかりやすいパンフレットを置いてあることが多いと思います。 50肩かな、と思ったら、早めに医師に御相談されることをお勧めします。 ================================================================== 2004(c)Kawakami Surgery and Orthopedics Clinic. |
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