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【なるほどコラム】「オスグット・シュラッター病(Osgood・Schlatter disease)」
温泉の湯船にずぷーとつかっていたときのこと。横を通り過ぎた男性を
ふと見ると、膝かぶの下がふくらんでいます。
ああ、オスグットだなあ、
と思いました。入浴中にまでこんな事を考えるのは病気ですね。
職業病です。
温泉で気がついたのですが、オスグット・シュラッター病の人は思った
よりも多いようです。症状があっても、我慢して、そのままにしてしまっ
た人が多いのでしょう。
実際、膝の打撲や骨折で偶発的に発見される場合も多いのです。
では、どんな病気なのか説明しましょう。病名は合衆国の整形外科医オ
スグット氏とスイスの外科医シュラッター氏に由来します。
小学校高学年から中学生くらいの、スポーツをよくやる生徒に好発します。
膝のお皿の下、約3~4cmの部位が痛くなったり、腫れたりする病気で
す。これは、発達が十分でない、未熟な骨に繰り返し牽引力がかかり、骨
が剥がれてしまうために起こるのです。
ここにかかる力は強大です。大腿四頭筋という大腿の大きな筋肉の力が、
膝蓋骨(お皿の骨)を介して付着する部位で、足で、物を蹴り上げる力が
伝わる部位なのです。
ですから、筋力が弱ければ、あるいはあまり運動をしなければ起きない、
とも言えるでしょう。
診断は、症状と単純レントゲン写真で十分です。よくわかります。
治療は、まずジャンプやランニング等の負荷を軽減することです。スポー
ツを完全にやめる必要はありませんが、練習に工夫は必要でしょう。
それから、大切なのが大腿四頭筋のストレッチとアイスマッサージです。
テーピングも有効でしょう。剥離した骨片を固定する装具もあります。
とにかく、ある時期が来ればよくなる病気です。それまで、スポーツと
どう折り合いをつけるか、が問題となります。
ご心配な方は、相談してくださいね。
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2005(c)Kawakami Surgery and Orthopedics Clinic.
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