Vol.16
医療法人 かわかみ外科・整形外科クリニック  
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【なるほどコラム】「オスグット・シュラッター病(Osgood・Schlatter disease)」

 温泉の湯船にずぷーとつかっていたときのこと。横を通り過ぎた男性を
ふと見ると、膝かぶの下がふくらんでいます。

 ああ、オスグットだなあ、

と思いました。入浴中にまでこんな事を考えるのは病気ですね。
職業病です。

 温泉で気がついたのですが、オスグット・シュラッター病の人は思った
よりも多いようです。症状があっても、我慢して、そのままにしてしまっ
た人が多いのでしょう。
実際、膝の打撲や骨折で偶発的に発見される場合も多いのです。

 では、どんな病気なのか説明しましょう。病名は合衆国の整形外科医オ
スグット氏とスイスの外科医シュラッター氏に由来します。
  小学校高学年から中学生くらいの、スポーツをよくやる生徒に好発します。

 膝のお皿の下、約3~4cmの部位が痛くなったり、腫れたりする病気で
す。これは、発達が十分でない、未熟な骨に繰り返し牽引力がかかり、骨
が剥がれてしまうために起こるのです。

 ここにかかる力は強大です。大腿四頭筋という大腿の大きな筋肉の力が、
膝蓋骨(お皿の骨)を介して付着する部位で、足で、物を蹴り上げる力が
伝わる部位なのです。

 ですから、筋力が弱ければ、あるいはあまり運動をしなければ起きない、
とも言えるでしょう。

 診断は、症状と単純レントゲン写真で十分です。よくわかります。

 治療は、まずジャンプやランニング等の負荷を軽減することです。スポー
ツを完全にやめる必要はありませんが、練習に工夫は必要でしょう。
それから、大切なのが大腿四頭筋のストレッチとアイスマッサージです。
テーピングも有効でしょう。剥離した骨片を固定する装具もあります。

 とにかく、ある時期が来ればよくなる病気です。それまで、スポーツと
どう折り合いをつけるか、が問題となります。

 ご心配な方は、相談してくださいね。

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