Vol.14
医療法人 かわかみ外科・整形外科クリニック  
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【なるほどコラム】腰椎分離すべり症

 今回は、読者の方から御要望のあった、腰椎分離症です。これに、椎体
の前方変位が加わると、すべり症、と言います。(まあ、早い話が、背骨
がずれてしまうと、ということです。)

 第5腰椎に好発し、原因の多くは小児期のスポーツです。激しいスポー
ツを繰り返すことにより起こる「疲労骨折」では、と考えられています。

 当院の症例では、少年野球をやっていた、とか、フィギュアスケートの
選手だった、とか。

 特にスポーツ選手でなくとも、「運動会の徒競走の練習で、スタートし
たら腰に激痛が」という小学生もいました。この様に、初期の段階で発見
できれば、治癒の可能性があります。

 がっちりしたコルセットの装着と、運動の中止です。だいたい6ヶ月は
続けます。でも、残念ながら、確実に治る、というわけではありません。

 多くの方は、小児期は無症状、もしくは軽症で推移し、腰痛が発症した
際に偶然発見されます。この腰痛は、必ずしも分離症が原因とは限りませ
ん。

 しかし、加齢と伴に腰椎症の変化が起こり(要は老化です)、腰痛を発
症することが多いようです。骨折部が不安定なため、ぐらぐら動くのが原
因、と考えられています。

 診断は、レントゲン写真です。特に側面像と斜位像が有用です。CTやMRI
の検査が必要な場合もあります。

 治療は一般的な腰痛に対する治療です。スポーツは少なくとも一時的に
は休んだほうが良いでしょう。痛み止めの内服や、湿布も効果的です。リ
ハビリテーションとして、温熱療法や低周波、鍼等も必要でしょう。

 装具療法としてコルセットも使った方がいいですね。特にすべり症のあ
る場合は、コルセットは必ず使うべきと考えます。筋力強化も効果的です。

 痛みが強い場合は、神経ブロックが良いでしょう。硬膜外ブロックや椎
間関節ブロックが良いでしょう。

 これらの保存的治療で十分な効果が得られない時、手術的治療を考えま
す。椎体の固定術や、徐圧術が行われます。

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2005(c)Kawakami Surgery and Orthopedics Clinic.